今日の1枚 - おすすめアルバム

今日の1枚 vol.8 – ヒグチアイ『日々凛々』(2018年)

「今日の1枚」として時代・洋邦問わずに、おすすめのアルバムを紹介するこのコーナー。

今日の1枚 – ヒグチアイ『日々凛々』

第8回目はヒグチアイの2ndアルバム『日々凛々』(2018年)!

ヒグチアイは2014年2年に1st ALBUM「三十万人」をリリースしたシンガーソングライター。

2015年3月にセルフプロデュースによる2nd ALBUM「全員優勝」をリリースし2016年11月にFull ALBUM「百六十度」でメジャーデビュー。

今作はメジャーアルバム2作目にあたる。ヒグチアイが大ファンだという、漫画家の池辺葵の描くジャケットもインパクトあり。

それでは『日々凛々』を紹介していこう!


1曲目「わたしはわたしのためのわたしでありたい」。

 

素晴らしいリード曲。

導入部は静かなメロディから入るが、徐々に張り詰めたテンションが上がっていき、強い意志となって聴き手に迫ってくる。

「現状に満足していない」「ちゃんと自分の尺度で自分の幸せを計れる人でありたい」とインタビューで語っているように、幸せの尺度を持っているのはあくまで自分であり、他者と比べられるものではない。※チケットぴあインタビューより

しあわせの数 増えて見つけた

ちいさなかわいい家

これが全てだ そう言った友よ

しあわせでいて

歌詞のこの部分に、そうした思いがよく表れている。

アルバムの出だしとしては満点のリード曲だ。

なお、この曲は、愛を歌うシンガーソングライター ヒグチアイのおすすめ曲8選+1【2018年上半期ベストソング】私的Top15をランキング形式で紹介!でもとりあげているので、そちらもチェック!

2曲目「永遠」。

 

アップテンポのナンバー。イントロからスピードに乗った打鍵が繰り出される。

「永遠、という言葉は時間の名称ではなく感情の名称だと思った日があった」というコメントが示しているように、「永遠は 感じるものだ」と気づく瞬間が歌詞の中でも語られている。

3曲目「コインロッカーにて」。

さらにアップテンポナンバーでたたみかける。

テーマは「間引き」。とはいえ子を殺すのではなく、「男の人が浮気をする、その“芽を摘む”という意味での“間引き”」とのことだ。※CDジャーナルインタビューより

とおりゃんせ とおりゃんせ

いきはよいよい かえりはこわい

とおりゃんせ とおりゃんせ

いなけりゃいいのは ほんとはわたし

「とおりゃんせ」の歌詞をもじった最後の部分は本音のようにみえて、実は気を引こうとしているのかもしれない。そんな複雑な心のうちが透けて見えるようだ。

4曲目「かぜ薬」。

ミドルテンポのバラード。

39度の発熱。この熱が下がらなければ、君はずっといてくれる。だからずっと熱が続いて欲しい。

でも熱は下がり、別れ話のとおりに別れてしまう。「2日分 残された薬」が別れた人の優しさを感じさせる良曲。

5曲目「玉ねぎ」。

失恋の涙を玉ねぎを切ったからとごまかす歌。「ありきたりなエンディングの映画で泣けちゃうくらい 泣きたいんだ」という歌詞が今の心のありようをよく表している。

また、バラードでありながら3分48秒と、短めにまとめられているのが、かえって印象を深めるのに成功している。

6曲目「わたしのしあわせ」。

 

やわらかなインストから入り、淡々と自分の状況を歌い上げていく。

「わたしのしあわせは誰のものでもない」、つまり自分のものであるということ。これはリード曲にも繋がるテーマだ。

自分の幸せをちゃんと自分でわかっていたいんですよね。

幸い今の私は、ちゃんとこう思っている気がしていて。

だからこの曲が自分のバロメーターで、こう思えてるかどうかみたいなところはありますね。※エキサイトミュージックインタビューより

このことをわかったうえで聴くと、よりじわりと心に染み入ってくる。

7曲目「ぽたり」。

21歳の時に書いた曲とのこと。雨と涙で「ぽたり」を表現した歌詞。

食って寝て泣いて 腹へって また食って

まわって また同じ所に戻って

ただ同じ毎日を繰り返しているようでありながら、最後には「君はずいぶん変わった」という変化が訪れるという、希望を感じさせる歌だ。

8曲目「不幸ちゃん」。

彼の浮気を追い詰めていく歌。

写真のチェックは風景も外さない

一人でこんな場所に行くはずないじゃん

白白黒黒白黒黒黒 器用じゃないもんね

果ては「フォロワーチェック」「いいね!」「鍵アカ」もチェックする。最後、「黒黒黒黒黒黒真っ黒」と塗りつぶされてしまう。

サンバ調で明るい曲調が怖さを希釈しているが、歌詞だけ見るとなかなか怖い。

でも、この不幸は先祖のせいにしたりして、ちょっとかわいいところもある(自分ではどうにもできないという、諦めに近いのかもしれないが)。

9曲目「最初のグー」。

「最初のグー」に関しては、ヒーローみたいな題材があったんです。

だからヒーローを見ている女の子を想像して書いたんですけど、すごく楽しかったです。自分のことじゃないので、自分を切り売りしなくていいから。

だけど結果的に私はこういうことを言われたいのかもしれない、みたいな歌詞になりました。※エキサイトミュージックインタビューより

とあるように、歌詞にその思いが反映されていると感じる。

ちょっとこぶしの効いた曲調にもなっていて、力強さにあふれた曲だ。

10曲目「癖」。

スローバラードでアルバムを締める。

誰 誰しもが欲しがられたいのだ

生きている意味は 誰かがくれるもの

しあわせは自分の尺度ではかるものだけれど、生きている意味は他者がくれる。誰かがいてくれることで、生きる意味は与えられるのだ。

しあわせとイコールではないが、それも確かに大切なことだ。


CDにはヒグチアイ自身による全曲解説も添えられている。ぜひそちらも手に取って読んでみてほしい。

そして実に濃密で何度でも繰り返して聴いていたくなる、そんなアルバムを作り出してくれた。気に入ったらライブにも足を運んでくれると良いと思う。ヒグチアイの今、を目撃しよう!

今回はヒグチアイ『日々凛々』を紹介しました。

次回もお楽しみに!

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