「今日の1枚」として時代・洋邦問わずに、おすすめのアルバムを紹介するこのコーナー。
今日の1枚 – Primal Scream『Give Out But Don’t Give Up』
第2回目はPrimal Scream(プライマル・スクリーム)の『Give Out But Don’t Give Up』(1994年)!
1982年、スコットランドのグラスゴーで、ボビー・ギレスピーとジム・ビーティによって結成。1991年の『スクリーマデリカ』のヒットで、スターダムにのし上がった彼らの4thアルバム。
前作『スクリーマデリカ』の浮遊感あふれるダンスミュージックとは打って変わった「ロック」な一作。
さっそく紹介していこう!
冒頭曲の「Jailbird」。いきなりガツンとやられる。
僕は60年~70年代のザ・ローリング・ストーンズが好きなのだけれど、このアルバム全体がその雰囲気をまとっており、発表時は前作とのあまりの変わりように賛否両論が巻き起こったほどだ。
しかもド直球なロックに回帰したものだから、批判は上世代や下世代からもあったりして……。
しかし、このソウルフルでブルージーなロックサウンドを聴いていると、前例・形式・時代にとらわれることがいかに無意味かを感じさせてくれる。
続いて、大ヒットした「Rocks」で畳みかけてくる。
まさにロック、ロック。
今聴くと、ちょっとゴージャスすぎるかなという印象もあるけれど、勝手に心と体が踊り出してしまう名曲であることに変わりない。
3曲目は「(I’m Gonna) Cry Myself Blind」。しっとり系。
先の2曲に続いて、こちらもシングルカットされている。「静かに泣き叫ぶ」情景が浮かぶようだ。
そして4曲目は「Funky Jam」。こちらは一転してファンキーな仕上がり。女声コーラスも効いている。
5曲目は「Big Jet Plane」。ゆったりバラード系。途中サックスも加わり、音が広がる。
6曲目は「Free」。ボーカルは女性に交代。なぜボビー自身が歌わなかったのか不明だが、女性の方が合っていると判断したのだろう。実際、このアルバムの中にあって違和感はない。
7曲目は「Call On Me」。ボビー再登場。この曲は特にストーンズぽい。ちょっとポップにした感じで、とっつきやすいと思う。
8曲目は「Struttin’」。インスト。打ち込みも取り入れているが、芯となるリズムが通っており、飽きさせない。
9曲目は「Sad And Blue」。ギターがカントリー風なブルース曲。
10曲目は「Give Out But Don’t Give Up」。タイトル曲。女性ボーカルがメイン。ちょっとおどろおどろしい感じ。タイトル曲でありながらシングルカットされていないのも、頷ける内容。
11曲目は「I’ll Be There for You」。バラード系。6分を超える曲で聴かせにくる。
ラストを飾る12曲目は「Everybody Needs Somebody」。こちらもバラード調の曲。締めくくりは静かに。
今回紹介するにあたって、久しぶりに聴いてみたが、90年代のUKロックの中でも聴いておきたい作品であることには違いないと感じた。
特に前半のテンションの高さとノリの良さは必聴。反面、後半は落ち着いており、全体の構成が多少極端に思えた。後半にあと1~2曲、前半並みのロック曲があれば、よりポジティブな印象になったかもしれない。
今回はPrimal Scream(プライマル・スクリーム)の『Give Out But Don’t Give Up』をお届けしました。
次回をお楽しみに!