「今日の1枚」として時代・洋邦問わずに、おすすめのアルバムを紹介するこのコーナー。
今日の1枚 – スカート『サイダーの庭』
第5回目はスカートの『サイダーの庭』(2014年)!
2006年に澤部渡のソロプロジェクトとして活動を開始。
鈴木慶一、川本真琴、南波志帆らの作品に参加したり、映画「恋は雨上がりのように」(2018)に劇中音楽を提供したりと、幅広く活躍している。
こちらは2014年発表の4thアルバム。清涼感の中に一糸の切なさを織り交ぜたようなポップスを展開する「スカート」の魅力が詰まった作品。
全8曲、24分というコンパクトさの中に濃密な世界がめくるめく。
そんな『サイダーの庭』を紹介していこう!
1曲目「さかさまとガラクタ」。
複雑なコードでちょっとプログレっぽいリズムもあり、不思議な世界が始まる予感を感じさせる。
2曲目「アポロ」。
ポップなメロディで夜の海を歌う。
輪郭があやふやだが伸びのあるボーカルも澤部渡の特徴だ。
後で引用する記事で弓木英梨乃(KIRINJI)が「声がオシャレ」と表現しているが、そのとおりだと思う。
3曲目「都市の呪文」。
山下達郎風の曲調。ファンキーな一面も。
「そうだ さみしがるよりも 古いつなぎ目を燃やそう」という詞も良い。
4曲目「ラジオのように」。
ムーンライダーズのかしぶち哲郎に憧れて作ったという曲。ちょっとThe Byrdsっぽさも感じさせる。
5曲目「サイダーの庭」。
タイトル曲。伸びやかで艶のある歌いっぷりが良い。
「あの夏のソーダよ! 守ってくれよ」と歌う詞は、夏にふさわしい曲だ(実際には過ぎた夏を歌っているようだけれど)。
6曲目「はなればなれ」。
ジャズ・ロック的なメロディが心地よい。曲中では「はなればなれ」という答えを出さず、それをタイトルとして表現している。
7曲目「古い写真」。
スロウテンポで、しっとりと聴かせる。
時が経てば楽しい歌も忘れてしまって
古い写真のように縁取りをつけられたらなんて
でもいつかあきらめが追いついて
君と僕との間に 冷たい布をかぶせるような日がくるんだ
こんな素敵な詞を、情感たっぷりに歌い上げる。
8曲目「すみか」。
MVも素晴らしい「すみか」でラストを締める。
「さらさらな紙のうえ」で始まり「さらさらな紙のうえ」で終わる。どこか切ないけれど、澄みきった心象風景が目に見えるような曲。
ポップチューンの並ぶスカートらしい1枚。実は以前、偶然「すみか」のMVを見て「これは良い!」と思ってスカートを知ったこともあり、今回こちらのアルバムを紹介した次第。
なお、次の5thアルバム「20/20」には、コーラスで弓木英梨乃が参加。吉澤嘉代子を含めた対談がとても面白いので紹介しておきます。こちらもチェック!
Road to 弓木流Vol.3 ~弓木英梨乃×吉澤嘉代子×澤部渡(スカート)スペシャル対談!~
次回もお楽しみに!