日食なつこ

魂のシンガーソングライター 日食なつこのおすすめ曲7選+番外曲

日食なつことの出会い

日食なつこを知ったのは、ある日MTVで「水流のロック」を聴いた時だ。

涼しげな滝の前で、ピアノに静かに座る彼女。共演するのはドラムのみ(後にライブでもおなじみのkomaki氏と知る)。

その少ないはずの音数の中、彼女の奏でるロックなリズムと歌詞に、僕の心は瞬時にひっつかまえられた

あれは彼女がその年の「関ジャム」(2016年10月放映)で話題になった時より、ずっと前だったように思う。

それ以来、彼女の作品をさかのぼって聴き、時にはライブ会場にもかけつけた。

彼女の書く曲は木彫り職人が小刀で丹念に作品に魂を入れていくように、ピアノの鍵盤とその独特な歌詞によって、楽曲に魂が入れられていると感じさせる。

そしてその魂が耳を通じて聴く者に移植され、心を激しく揺さぶるのだ。そうした意味を込めて「魂のシンガーソングライター」と勝手ながらにタイトルに添えさせていただきました。

数多くある彼女の作品の中から7作(+1作)を選出し、おすすめしたいと思う。

その前にちょっとしたプロフィール。

日食なつこプロフィール

岩手県花巻市出身。

7歳からエレクトーン、10歳からピアノ、12歳頃から作詞作曲を始める。高校2年の冬から地元盛岡にてライブ活動を開始。

テレビ朝日系列の音楽番組「ストリートファイターズ」が企画したイベント「ストファイHジェネ祭り’09」東北エリア代表。

2009年7月、同番組のプロジェクトとしてファーストアルバム『LAGOON』をリリース。当作品は同年7月20日付iTunesヴォーカルチャートで1位を獲得。



日食なつこ おすすめ曲7選+番外

僭越ながら7位からランキング形式で紹介させていただきます。また、番外編として最後に一曲プラスしました。

実際に聴いてもらいたいため、YoutubeにMV等のある曲に限っています。

他にも素敵な曲がたくさんあるので、ぜひアルバムをそろえてみてください!

それでは、魂ふるえる楽曲を聴いていきましょう!

※紹介の文章が長めなので、お急ぎの場合はMVだけでも堪能してみてください

7位「ヒーロー失踪」(1st Full Album『逆光で見えない』収録)


タイトルどおり、この曲にヒーローは出てこない。

その理由を彼女は以下のコメントで説明している。

(中略)この歌のテーマは、”救いを求める聴き手にあえて勇気も慰めも与えず見捨てる”ことです。

かよわい姿で助けを呼ぶ誰かのところに駆け付けて「もう大丈夫だよ」と微笑んであげるのではなく、「こんなくだらない悩みで呼びつけてんじゃねえよ」と吐き捨て、その人の尊厳や触れてほしくない部分などお構いなしで踏みにじり、現実を嫌味なくらい突きつけて、相手を恥と屈辱で立ち上がらせるような奴こそ本物のヒーローであり、その行為こそ本当の救いです。

(中略)誰かがこれを聴いてちょっと苦い顔をしてくれたら目的達成ですね。(「Real Sound」日食なつこコメントより)

彼女の曲は総じてそうなのだが、悲しい」「愛してる」といった直接的な表現を使わず、曲と歌詞の総体でもって聴き手にそう感じさせるようにしている

だからヒーローだって出てこないし、救いが何かというのも言及していない。

コメントで言及されている「行為」、それこそが救いなのだ

上記リアルサウンドのページにある「ヒーロー失踪」の予告編は、30秒の間に30カ所で彼女が演奏するシーンで構成されている。そちらも必見。

6位「あのデパート」(4th Mini Album『逆鱗マニア』収録)


誰にでも原風景というものはある

それは街角だったり、公園だったり、デパートだったり……。

この曲は彼女の出身地である花巻市にあった「マルカン百貨店」が閉館すると聞き、何かできることはないかと使命感にかられた彼女がマルカン百貨店のために書いた曲

特定のスポットについて歌った曲だが、誰しもが持つ原風景の額縁にぴたりとはまる楽曲となっている

なお、マルカン百貨店は2016年6月7日に43年間の幕を閉じたが、翌2017年に6階の大食堂と1階が再オープンしている。地元の方々の残したいという強い思いが実った形だが、彼女の曲もその一助となったのだと思いたい。

新生・マルカンビル大食堂の再出発!待ち望んだ再オープン日レポート【前編】
新生・マルカンビル大食堂の再出発!待ち望んだ再オープン日レポート【後編】

マルカン大食堂 運営存続PJ

5位「空中裁判」

ポップなピアノチューンだが、歌われているのは「不貞」。

縛られた境遇から解放されるために空中へと飛び立つが、その後に訪れる残酷な裁きが目に見えるようだ。

こちらの曲は【2018年上半期ベストソング】私的Top15をランキング形式で紹介!にも堂々ランクイン。

4位「white frost」(2nd FullAlbum『永久凍土』収録)

ニュージーランドのタスマン氷河や湖畔で撮影したMVは、どこまでも果てしなく、どこまでも冷ややかな世界だ。

そんな心や身を切り刻まれるような世界の中、真っ当でいたいという「僕」の心境を歌い上げていく。

しかし、「君と青い空と白い雪はどうかそのままでいてくれ」と縋るような願いを吐露していた「僕」だが、ラストで「君」はいなくなり、「青い空と白い雪はどうかそのままでいてくれ」に変わる。

君はどこに行ってしまったのだろう?

3位「レーテンシー」5 th Mini Album『鸚鵡』収録)

 

タイムラグとか時差という意味がありますが、(中略)どうしてもパッと動けない自分も存在して。

(中略)調子に乗るなよという自戒の意味を込めて書きました。(中略)だから実ったらすぐ採る、で、すぐ出荷するというのを、常に自分でやっていきたいなって思って。

これから関わってくる人も増えてくると思いますし、他人の意見に振り回されずに、ちゃんと自分で定めた最高速度でいかないと、この先どんどん辛くなるだろうという想いが、この曲を書くきっかけになりました。(「SPICE」日食なつこインタビューより)

インタビューにあるように自戒の意味を込めて書いたとあるが、日々を送っている自分にも思い当たる節があり、どきりとさせられる。

「そりゃ待ってりゃいつかは来るさ 痺れを切らした未来の方から 待ってるだけしか能の無い奴の面を拝みにさ」

漠然と過ごしがちな毎日だが、未来は確実にやってくる。

でも、その未来は自分がどう過ごすかによってまったく違う姿を見せにくる。その姿は自分自身を写す鏡なのだ。

そこに写る自分を変えるには、ただ待つだけではいけない。そんな焦燥感すら抱かせる楽曲だ。

2位「ログマロープ」(4th Mini Album『逆鱗マニア』収録)

 

前作の『逆光で見えない』のリリースツアーが終わって、私の中で一区切りがついて、そこから思考がピタッと止まってしまったんです。

(中略)そこからの半年間は本当に一曲も書けないし、何を目指してライブをしたら良いのかわからないし、表現する人間としてすごくギリギリのところにいたんですね。

(中略)モチベーションが低くてもステージに立ったらキリッとしなきゃいけない。そういう思いが毎日積もってきていたんですけど、ある日、その積もった思いを全部ぶん投げたんです。

今までの日食なつこをこの曲で全部ぶち壊していいから、今の本音をとにかく曲にしようと思って。それで書いたのがこの「ログマロープ」なんです。なので歌詞も曲も計算がない。(「SPICE」日食なつこインタビューより)

ぶん投げる、ぶち壊すという表現がふさわしい曲。

鋼の心臓 打たれるたび熱くなる 矢印ばっかの世界を生意気に歩けばいい

赤い、熱い心臓が、刀匠の打つ刀のように研ぎ澄まされていき、世界を切り取って歩く姿が思い浮かぶ。

止まっている場合ではない、変化しなければという決意を喚起させてくれる

この熱い曲をあえて雪中で歌うことで、かえって熱さが強調されるMVとなっている。

1位「水流のロック」(3rd Mini Album「瞼瞼」、1st Full Album「逆光で見えない」収録)


やはり初めて聴いた曲ということで思い入れがあり、1位としました!

奏でられる音は、日食なつこのピアノとkomaki氏のドラムのみ。それなのに無数の音の広がりを感じられる。

小川のせせらぎのようなイントロから、徐々に流れは激しさを増し、やがては逆流の叫びとなる

3分20秒の曲だが、もっともっと聴いていたくなる。

 君と僕のロックンロール。君が誰なのかは判然としない。人かもしれないし、僕自身が創り出した「曲」かもしれない。

ひとりではなく「ふたり」が起こした逆流が伝説となる

そんな風景が確かに見えるような楽曲だ。

なお、ロケ地は軽井沢の「白糸の滝」。

とにかく彼女はピアノをさまざまな場所に運んで弾く。それがまたとても絵になる。

次はどんなMVを見せてくれるか、楽しみにしています!

番外曲「ローカルミーハーのうた」


それでは最後に番外として、福屋不動産とのタイアップ曲をお送りします!

近畿・東京・福岡にて不動産売買仲介業を手掛ける株式会社福屋不動産販売は、2016年11月より展開している「東京ローカルプロモーション」の世界観を表現したミュージックビデオを、2017年1月20日に公開したことを発表。

作中では、街に溢れる“ローカルミーハー(街のスポット[店/場所]や人に関する情報のこと)”に、本田なおが次々と触れてく。

曲は、日食なつこ書き下ろしのオリジナルソング「ローカルミーハーのうた」。(上記Youtube紹介文より)

軽やかな曲調で町の様子を次々と歌っていくとっても素敵な曲です!

石神井が出てくるのだけれど、このあたりは近所なので知っているお店が出てきたりして、個人的にもほっこり。

日食なつこおすすめ曲まとめ

1位:水流のロック
2位:ログマロープ
3位:レーテンシー
4位:white frost
5位:空中裁判
6位:あのデパート
7位:ヒーロー失踪
番外:ローカルミーハーのうた

ライブ等の最新情報はオフィシャルサイトやプレイガイドでぜひチェック!

・日食なつこ公式サイト「環礁宇宙」

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