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【2018年ベストソング】私的ランキング20 ~音楽で豊かな人生を!

2018年ベストソング 私的Top20

2018年もあとわずか。どんな一年を過ごしましたか?

さて、音楽も扱うブログの端くれとして、今年のベストソングを紹介していこうと思います。当ブログは2018年2月開設なので、初めての年間ベストソング企画となります。

どの曲もすばらしいので順位をつけるのは難しいのですが、個人的な思い入れも含めてランキングを作りました。

対象は2018年1月1日~12月22日までに発表された楽曲で邦楽に絞り、Youtubeで視聴できるもの(基本的に公式動画)を選んでいます。

それでは、さっそく20位からいってみましょう!



20位:関取花「蛍」

関取花の中ではアップテンポ気味の楽曲で、歌われている内容は前向きな逃避行。

誰かがほら 指をさして僕らを笑うよ

魔法にでも かけられたつもりなのかと

夢を見ているだけだと どうせすぐに消えるよと

夢見る者を笑う奴。

そんな退屈なやつらなんて置き去りにして、誰も知らないところまで行こう。そして星屑の川のほとりで、ふたりだけの光を灯す蛍になろう。

「蛍」というのは自分たちのこと。サビの最後でわかる仕掛けがうまい。

そして彼女の伸びやかで奥行きのある歌声に、今日も僕は元気づけられるのでした。

19位:Mom「Boyfriend」

スタイリッシュなシティポップ。ちょっと鼻にかかったような歌声が心地よく、ふわふわとした浮遊感に浸れる。

2018年に入ってからTwitterでバンバン自分の曲を動画つきで紹介していたのを目の当たりにしているうちに、11月には全国流通盤をリリースするほどの注目株に成長。

今の時点で現役大学生というから恐れ入る(後ほど紹介する人は現役高校生だが)。

18位:ハルカトミユキ「17才」

アニメ「色づく世界の明日から」主題歌。

じつはこの曲を初披露したライブに居合わせていた。その時、ハルカが「この物語の主人公が『私は幸せになってはいけない』と言っているのを聞いて、これは私のことだと思った」というような趣旨のことを打ち明けた。

ふつうなら「何言ってるんだ」となるところだが、彼女のふだんの言動(あくまでメディア、観客を相手にしている姿しか知らないが)から、「さもありなん」と思ってしまった。

そんな思いを見事な楽曲へと昇華した良作。

曲調はさわやかだが、「たとえば今日までの僕が壊された夜」というインパクトのある出だしはハルカトミユキをよく表している。

17位:Have a Nice Day!「わたしを離さないで」

アンダーグラウンドなシーンで夜な夜な踊り狂うというイメージのハバナイ(浅見北斗)だが、夜が明け、朝陽がのぼっても踊り続けていたら、こんな眩しい曲ができちゃったという感じ。

しかし聴いていると自然に体が動き出すようなリズムは変わらずで、青空の下で踊りたいな~という欲求が湧いてくる。というかこの記事を書きながらすでに体が動いている。

タイトルはカズオイシグロの作品から取ったそう。

さらに、MVに出演しているのは雑誌『Seventeen』の専属モデル横田真悠。監督は福山雅治、安室奈美恵、三浦大知らのMVを手掛ける丸山健志。

一気にこんなに明るいところに出てしまい、灰になってしまわないだろうかハバナイは、とよけいな心配までしてしまった。

そんな心配をしていたところ、関ジャム2018マイベストソングの蔦谷好位置氏の第8位に、「わたしを離さないで」が選ばれたという朗報が入った。灰なんてとんでもない、このまま天まで昇ってくれ!

16位:そのうちやる音「呼吸」

読み方は「そのうちやるね」。何で知ったんだっけ? Spotifyの関連アーティストかな。たぶん。

とにかくそのポップさが耳に残り、聴き終わった後も脳内でぐるぐる回る。そしてまた再生。さらにぐるぐる。呼吸困難に陥りそうになり、大きく深呼吸。

ぎりぎりに追い詰められて呼吸することしか残されていない中では、愛も夢も正義も悪もどうでもよくなる。そんな絶望の淵で跳びはねながら、高らかに歌い上げる姿が浮かぶ。

はっきり言って妙なアーティストなのでベストに選ぶのは躊躇したが、この奇妙さは嫌いではないので推してみた。

とはいえ、Spotifyの公式プレイリスト「キラキラポップ:ジャパン」の50曲に選ばれているので、刺さる人には刺さるはずだ!(もしかしたらこのプレイリストで知ったのかもしれない)

15位:崎山蒼志「五月雨」

現役高校生はこちら。まあとにかくすごい15歳。

メロディや歌声が耳に残りやすく、歌詞もストレート。荒削りな印象は否めないものの、今はそれが大きな魅力だ。今後が楽しみ。

14位:ずっと真夜中でいいのに。「秒針を噛む」

2018年6月にYouTubeに動画がアップされるや、一気に100万、200万とうなぎ登りに再生されるという離れ業を成し遂げた「秒針を噛む」(12月24日の記事公開時点で1,274万再生!)。

メロディのわかりやすさと、MVのハイクオリティなアニメーション、そしてボーカルACAねの熱量の高い歌声が、多くの人に受け入れられたのだと思う。

実際、MV込みで何度でも再生したくなって、一時期はハイペースで視聴していた。

ちなみにこの曲はTwitterのフォロワーのひととさんに教えていただきました。ありがとうございました!

また、同じく関ジャム蔦谷好位置氏の2018マイベストソング第9位に、ずっと真夜中でいいのに。「脳裏上のクラッカー」が選ばれた。おめでとうございます!

13位:羊文学「Step」

過去との決別ができずにいる心境でありながら、その過去は次の段階に進むための必要な経験だったのではないかという希望も垣間見える曲。

テンションは決して高くはなく、淡々としているようだが、底に流れるポップなリズムが心地よい。

その後「1999」というクリスマスソングの名曲を生み出す萌芽は、この時点ですでにあったように思う。MVがあれば「1999」をもっと上位で推していただろう。

12位:日食なつこ「致死量の自由」

果てなき「自由」は致死量にも値する猛毒である。

子どもの頃に羨望した自由は、大人になった途端、持て余すほどの広がりを見せ、かえって子どもの頃のほうが自由だったのではないかと思うほど。

わかっていても飲み干すのだ。自由という猛毒を。ええ、わかります。その気持ち。

「綺麗な花には毒がある」と言わんばかりの軽やかなメロディも日食なつこらしい。曲の長さも2分13秒。そう、毒が回るのは早いのだ。

11位:Sunny Day Service「卒業」

透明感のある切なさは健在。MVも面白く、かつ登場する高校生すべてに詳細な設定が施されている。この光景は彼ら彼女らの現在なのだろうか、それとも過去の一幕なのだろうか。

と、上半期ベストで紹介していた。再聴しても印象は変わらない。むしろ卒業が近づくこの時期、余計に心に染み入ってくる。

10位:カネコアヤノ「祝日」

シンプルなメロディラインだが、永遠に続いてもいいと思わせるほどの力がある。陽だまりの中でずっと聴いていたい。

「みんなに内緒もいつまでできるかな」という恋人との関係。「若気の至りか」と疑念を持つものの、そんなことは抱き合って確かめればいいし、むしろこれからの話をしようというポジティブな気持ちで締めくくる。

そんなゆるいポジティブさがカネコアヤノの楽曲にはあり、ちょっと疲れた時とか、ついつい手に取って聴き続けてしまう。

9位:GLIM SPANKY「TV Show」

相変わらず格好いい曲を作ってくれる。

テレビ(マスコミ)に対する批判というより、思考停止せずに真実を見抜けという視聴者への警鐘のように思える。

ちょっとおどろおどろしいAメロから一気にサビに持っていく構成も良い。

なかなかこのスタイルを貫いていくのは難しい面があるだろうが、さまざまな変化も取り入れつつ、突っ走っていってほしい。

8位:大森靖子「死神」

イントロの美しい旋律は、死の匂いと、そしてやがて訪れる福音を表しているかのよう。

愛に基づいているはずの行動が、死を招いている。そして死んだように生きてこそ生きていられるこの星の世界を殺めることで、新たな生が育まれる。そのために僕は闘うし、その闘う場所には命が蠢いている。

MVのラストは唐突に世界が終わったように感じさせられるが、実際に続く歌詞では命を守るかのような「僕」の行動が示されている。死神でありながら、やはり本当は「天使」なのではないかと、そんな希望すら抱かせる作品だ。

7位:ヒグチアイ「わたしはわたしのためのわたしでありたい」

誰のためでもない、大切なのは自分であって、自分のためを思う自分でありたい。

そんなことを気づかせてくれる歌だ。

やっていることに意味はあるのか? 目指していることは叶うのか? でもそれは誰かのためにしているのではなく、やっぱり自分のためだし、していることやしてきたことは誰でもない自分自身がしっかりと覚えているのだ。

自分をちょっと疑うようなことがあったら、ふとこの曲を思い出して聴いてみると良いかもしれない。きっと大切なことに気づかせてくれるだろうから。

6位:きのこ帝国「金木犀の夜」

曲はもちろんのこと、もう出だしの歌詞からして良い。

だいたい夜はちょっと

感傷的になって

金木犀の香りを辿る

「だいたい」が特に良い。毎日でもないし、たまにでもない。この絶妙な頻度を表すのに「だいたい」を選択したセンスが良い。

しかもラストの締めも同じ歌詞になっている。この繰り返しも良いし、ここでさらに続けずに終わるのが良い。実に良い。

タイトルの付け方も素敵だ。「金木犀」でもなく「金木犀の香り」でもなく「金木犀の香る夜」でもなく、「金木犀の夜」。具体性でなく曖昧性を取ったことで、ぐっと広がりと深みが増したように感じる。

良い良いばかり言っているが、それほど隙のない作品だ。

なお、元・電気グルーヴの砂原良徳と組んだ、佐藤千亜妃ソロ名義のアルバム「SickSickSickSick」の中ではタイトル曲の「SickSickSickSick」の方が好みなので、「Summer Gate」は惜しくも選から漏れた。

5位:THE BAWDIES 「HAPPY RAYS」

THE BAWDIESは骨太のロックンロールのイメージが強いが、たまにこうした優しいロックンロールを世に出してくるから気が抜けない。

飲み過ぎて結婚式に間に合わない新郎。しかしそれは新郎の夢で……間に合ったかと思いきやまた夢で……。その繰り返しの結末は、タイトルどおりの幸せな光が射し込むのか? というMVのストーリーも面白い。

4位:イトカムトビコ「ふたりよがり」

逆転勝利とか起死回生とか、それはほとんどが起きた後に表現されるのだけれども、この曲はそんな大それたことは何も起きずに終わる。

それどころか、「僕」は出来損ないのラットであり、最後尾を走りながら息を切らしている状況だ。

でもその条件こそが逆転勝利の法則に則っており、むしろ「チャンスを握っているのは、この僕」という思考と、その状況のまま曲が締められるという、余白を残した終わり方がとても印象的。

タイトルの「ふたりよがり」の「ふたり」は、「僕」と「僕を客観視する僕」だと自分は解釈した。「僕」が「君」と称する「僕」に、最後の一投起死回生を置いていく、という意味に取った。

でも曲を聴きながら、「ふたり」というのは、もしかしたら「僕」と「聴き手」なのかもしれないと、ふと思った。なぜなら疾走感のあるリズムが気持ちの昂ぶりを喚起させ、「僕」とともに走りたくなってきて、起死回生の一投を与えたくなるからだ。

でもそれだって、必ずうまくいくとは限らない。勝手にそう思っているだけかもしれない。だから、「ふたりよがり」なのだ。

主に京都で活動しているようだが、ぜひライブを観てみたいと思わせる力強さを感じた。なお、バンド名は「It comes to become.(なるようになる)」から来ているとのこと。

3位:モーモールルギャバン「7秒」

シンプルなポップチューン。デビューから13年。ここにきて、これほど青くさい作品を発表するとは、思わず拍手したくなった。

「7秒」というのは、長いようで短い、短いようで長い、どちらともとれる時間の幅だと思う。目を見つめ合うには長く、手を握るには短すぎる。

その「時間」のとらえ方を、うまく表現している楽曲だ。

そしてMVの3人が本当に楽しそうで、ここに混ざりたいくらい。そんな思いを抱かせるほど、聴くたびに胸が高鳴る曲だ。

2位:吉澤嘉代子「女優」

2018年は吉澤嘉代子のライブに5回、足を運んだ(うち1回はファンクラブイベント)。

「残ってる」の影響もあり後半になるにつれ、より多くの、そして幅広いファン層がライブ会場に訪れていたように感じたのが印象的だった。

「女優」は吉澤嘉代子4thアルバム「女優姉妹」のリード曲で、今作の主人公は「好きな人のそばにいられるように騙されている私」。

彼女の曲は物語性が高いというが、もはや「物語そのもの」だ。歌詞の一文一文、一語一語に、その物語(曲)にふさわしい言葉が慎重かつ大胆に選ばれている。

貴方に掛かった悪い魔法をといてあげる

私のすがたが変わり果ててしまっても

特にサビの部分では、思いの強さを見事に表現しているし、初めて聴いた時はその思いが自分の心に肉薄してくるような衝動を覚えた。

早く次の物語を聴きたくてたまらないが、それまでは今までに発表された多くの作品世界に浸り続けようと思う。

1位:clammbon「Lush Life!」

デビュー時から20年来のファンであるクラムボンだが、今、この時にこんなにもポップでキュートな楽曲を発表してくれたことが、とても嬉しい。

原田郁子は出だしから跳ねるように歌い、ひたすらポップに突き進む。

歌われているのは10代の恋心。ときめく心をこれでもかと表現し、昂ぶった気持ちは「C’est la vie(セ・ラヴィ。人生って、こんなものさ)」「C’est si bon!(セ・シボン。とても素敵!)」と、フランス語にまで置き換えられてしまう。

ちょっとしたことでも楽しく感じられてしまう、そんな気分が歌詞や曲調からあふれ出している。

中盤の原田郁子のキーボードは、力強い打鍵から一気にキラキラと天に昇るような音色に変化し、合間合間に入るクラップ音も効果的で心が弾む。

MVの実写とアニメーションの使い方も面白く、この曲にぴったりの世界を構築している。

タイトルの「Lush Life!」は「(恋することで)豊かな人生を!」という意味だろうか。恋をすることはいくつになっても素晴らしいことだし、「Lush Life!」な人生というのは恋だけではなく、いつだって「ときめきを感じられる何か」を持つことではないかと僕は受け取った。

そんなわけで2018年の音楽シーンも、素晴らしい作品がたくさんあった。「C’est si bon!」と快哉を叫びたくなるほどに。


以上、2018年私的ベストソング20でした!

01.clammbon「Lush Life!」
02.吉澤嘉代子「女優」
03.モーモールルギャバン「7秒」
04.イトカムトビコ「ふたりよがり」
05.THE BAWDIES 「HAPPY RAYS」
06.きのこ帝国「金木犀の夜」
07.ヒグチアイ「わたしはわたしのためのわたしでありたい」
08.大森靖子「死神」
09.GLIM SPANKY「TV Show」
10.カネコアヤノ「祝日」
11.Sunny Day Service「卒業」
12.日食なつこ「致死量の自由」
13.羊文学「Step」
14.ずっと真夜中でいいのに。「秒針を噛む」
15.崎山蒼志「五月雨」
16.そのうちやる音「呼吸」
17.Have a Nice Day!「わたしを離さないで」
18.ハルカトミユキ「17才」
19.Mom「Boyfriend」
20.関取花「蛍」

なかなかバラエティに富んだ布陣になったような、自分ではそんな気がしています。なお、本記事のサブタイトルは「Lush Life!」から取っています。

今年も良い音楽にたくさん触れることができましたが、まだまだ知らないアーティストはごまんといるので、今後も飽くなき精神で開拓していきたいです。

2019年はどんな曲が世に出てくるのか、今からとてもワクワクします!

選んだ20曲については下記のYoutubeプレイリストに登録しましたので、リンクを貼っておきます。それではまた!

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