「ミステリー」。魅力的な謎とその解明、意外な動機や真相。スリルとサスペンスで物語を牽引し、ラストで大きなカタルシスを得る……。
そんなミステリーの醍醐味を味わえる漫画を、ミステリー作家志望者であるブログ運営者が選びました!
さっそく紹介していきましょう。
『彼方のアストラ』/篠原健太
漫画大賞2019の大賞受賞、そして2019年7月からはアニメ化と、大注目のSFコミックです。
宇宙もののSFという形を取っていますが、まごうことなきミステリー。
宇宙船内というクローズドサークル、そして乗組員9人のうちに1人いる刺客。個性的な星々を巡って母星に戻る冒険ストーリーでありながら、最後の真相で世界は一気に反転します。
また、ただ謎を解くだけでなく、キャラクターのパーソナルも深く描かれ、各々が持つ業、そして成長がしっかりと描写されています。
これだけのスケールの物語でありながら、全5巻にまとめた手腕にうなりますし、作家や書評家といったミステリー関係者が絶賛するのも頷けます。
過去の名作へのオマージュも散りばめられ、そうした点でも楽しめる内容。
今、もっとも読んでおくべきミステリーといっても過言ではないでしょう。
『ミステリと言う勿れ』/田村由美
あたまがモジャモジャの天然パーマで、マイペースの学生「久能 整(くのう ととのう)」がさまざまな謎を解いていくミステリー。
なにがすごいかと言うと、久能君の「言葉」によって真相に至っていく過程でしょう。
彼の発する「言葉」が、犯人やその周辺にいる人物たちの心をまっすぐに突き、謎を一枚一枚はがしていくのです。
その過程はまさに痛快で、快感すら伴います。
僕はもう久能ファンの一人です!
小学館「月刊flowers」で2019年6月現在も連載中。
『幽麗塔』/乃木坂太郎
昭和20年代を舞台としたミステリー。
時計塔の針に人がくくられて殺害されるという、ショッキングな幕開けで始まるこの物語は、その時計塔に秘められた謎によってストーリーを引っ張っていきます。
主人公はうだつの上がらない、無職の天野太一。その彼のもとに現れたテツオが、彼を強引に引き込んでいきます。
殺害シーンの描写が刺激的ではありますが、どんよりとした世界を構築するためには、非常に効果的。
テツオの抱える謎も序盤からぐいぐいと興味をそそられますし、ページをめくる手が止まりません。ラストはぜひご自身の目で経験してみてください。
全9巻という長さによくまとまっていると思います。
明治・大正時代の小説家でジャーナリストの黒岩涙香が翻案した海外文学『幽霊塔』がベースとなった作品。人物やストーリーは異なっているので、読み比べてみるのも面白いのではないでしょうか。
『僕だけがいない街』/三部けい
こちらもSF仕立てのミステリー。タイムリープものの傑作で、アニメ化や映画化もされ、一時期大きな話題となりました。
やはりミステリーとして推したい作品で、母親を殺害した犯人、そして連続誘拐殺人犯を主人公で売れない漫画家・藤沼悟が追うというストーリー。
タイムリープを扱った作品は多々ありますが、ユニークかつサスペンスに溢れた展開となっており、最後まで息をつかせません。
こちらも全9巻。一気読みは必至です!
『外天楼』/石黒正数
『それでも街は廻っている』の石黒正数による全1巻の連作短編集。
コミカルな展開で幕を開けますが、「外天楼」という集合住宅が現れたところから、ストーリーはシリアスモードに変化していきます。
ロボットが普及した世界で起きた不可解な殺人事件。その犯人と真相を、捜査一課の女性刑事が追っていきます。
意外な真相と切なさを凝縮したラストシーンは、きっと読者の記憶に刻まれ続けることでしょう。
ミステリー好きなら必読の一冊です!
まとめ
今回紹介した作品を以下に記載します。
いずれも読み応えがありながら、短くまとまっているので、一気に読み進めることができます。ミステリー好きな方はもちろん、ふだんはミステリになじみのない方も楽しめる作品です。
謎と不思議、ハラハラドキドキする展開を味わいましょう!